【上映会レビュー】SDGs実践プロジェクト『抱く{HUG}』2026.2.28
こんにちは!SO.ラボ(ソラボ)です。
現在SO.ラボでは、隔週の土曜日にSDGs実践プロジェクトの一環として、環境・教育・人権・多様性などをテーマにした上映会を行っております。
2月28日(土)に上映会を開催しましたので、上映作品の概要と参加者のみなさまの感想を報告させていただきます!
今回の上映作品『抱く{HUG}』
製作年:2014年
製作国:日本
時間:69分
監督:海南友子
~作品概要~※以下cinemoHPより抜粋
命の輝き、母の愛、この世界に生きるということ。
水を飲み、大きく息を吸うたびに赤ちゃんへの影響が心配になる。福島で出会った母たちの苦しみが、そのまま自分のものとなりました。そして、生まれてはじめて自分にカメラを向ける決心をするのです。
40歳での初めての出産、そして放射能の不安との闘いの日々。壮絶なつわり、緊急搬送されるまでの激痛。これは年齢のせいなのか、それとも放射能の影響なのか。取材を続けるべき?それとも?
監督は、迷い、苦しみながら自身にカメラを向け続けます。何もかもが変わってしまったこの世界で、母となる意味を記録する為にーーーー。
ここに、ひとりの母親による心揺さぶる魂の記録が誕生しました。
~該当するSDGs目標~

今回の作品は
3番『すべての人に健康と福祉を』
7番『エネルギーをみんなにそしてクリーンに』
の2項目の達成目標に関する内容でした。
上映作品に関する図書の紹介

今回は『エネルギー産業の2050年』『地球環境問題がよくわかる本』の2冊をおすすめ図書に選出させていただきました。
SO.ラボでは会員様向けに図書の貸し出しを行っております。
会員登録をご希望の方はスタッフまでお声掛けください。
詳細は下記URLにてご参照ください。
https://solavo.jp/member/
上映会・座談会の様子

~議論内容~
今回も3つの問いを基に、ワークシートを活用した座談会を行いました。
Q1この映画で一番印象に残ったシーンは何ですか?
それはなぜ印象に残りましたか?
・立入禁止区域内に入り、放射能被爆を恐れている最中で、母親になることがわかったシーン。
→急に自分の身体が自分だけの身体ではなくなってしまうことへの緊張感や責任感が伝わってきた。
・震災で家を失った人、行き先を失った人へのインタビューのシーン
→当時の苦しさややりきれない気持ちがすごく伝わってきた。これが現実に起きたことだと考えると恐ろしい。
・自分の思い込みばかり膨らませ、事実を調べることや考えることをやめ、勝手に決めつけて行動に移してしまう“人の嵯峨”が印象的だった。
→正確な情報を得ることなく、感情的になったり何かに当たったりするのは良くないと感じた。
・「嘘をついた」という言葉
→人々がパニックに陥った時、問い詰められた責任者たちは、発する言葉ひとつひとつに責任をもって発言しているのに、それを一面的な見方で切り取って「噓つき」呼ばわりするマスコミの方が言葉に責任をもてていないと思った。
・出産のシーン
→帝王切開で子どもがおなかの中から出てくるところは初めてみた。
→自分の子どもが生まれた時のことを思い出した。
・急に飼い主を失った家畜が息絶えているシーン。
→あまりにも心が痛かった。
・福島の住まいを無くし、全国に移住を余儀なくされる人々の話のシーン。
→東京に住む人でも沖縄に移住する人がたくさん増えたことや、設計事務所で砂の入れ替えの依頼が頻繁にあったことを思い出した。
→中学生の頃に校庭の砂の入れ替えがあった。放射能汚染が関係していたことを当時知らなくて、この座談会でやっと繋がった。
・福島には住めない、子どもの放射能摂取基準値を見直せなどと訴えるデモ運動のシーン
→過去に広島には原爆が投下され、ひどい放射能汚染があったにもかかわらず、未だに人々が住み続けているのに、チェルノブイリ原発事故の時と基準値を比較して封鎖を求めるのは違う気がした。
→日本人は技術者的な性格上、問題解決するために核に突っ込んで原因を追究しようとすることが多い。そのため、万が一世界のどこかで同じような事故が起きた際には、日本人は先頭に立って問題解決のために動くことができる。
Q2東日本大震災が起きた当時、生活していくうえで最も不安だったことは何ですか?
また、それはなぜですか?
・震災当時は小学5年生だったので、もう日本には住めなくなってしまうのではないかと不安な気持ちでいっぱいになった記憶がある。
・仕事において、やるべきことをやって皆を落ち着かせないといけないという責任を当時とても強く感じていた。
・不安はなかったが、不便はあった。ガソリンやインフラが止まったことで、業務に支障が出ることが度々あった。
周りの人も気を使ってくれた
・福島の人たちからの職場への嫌がらせがあった。
・福島から移住してきた子どもたちはいじめられると聞いていたが、そんなことはなかった。むしろ周りは優しかったと思う。
・独立して8年目くらいのときに東日本大震災が起き、半年くらい会社がストップしてしまい、雇っている人もいたため先が見えない不安が大きかった。そんな中、「本当に困ったら言って」と言ってくれる人がおり、当時とても励みになった。
Q3この映画を見て、学んだこと・気づいたことはありますか?
・皆がパニックになっているときは、誰もどこにも責任を押し付けられないし、標的を作らないと正気でいられないことがわかった。
・いままでCO2の排出量を削減することを目的として原発を動かしてきたのに、事故が起きたとたんに電力供給の際のCO2排出量について誰も何も言わなくなったのはおかしいと感じた。
・日本は地形的にみても過酷な状況にあるからこそ、技術力がどんどん上がっているのだと改めて感じた。
・今のこのネット社会の状況で東日本大震災のような震災が起きていたとしたらどうなっていたのか、想像した。
・情報選択について、根拠のある元の情報を確実に取りに行く必要があることが大切だと改めて気づいた。お金を稼ぐための過激な情報や陰謀論的なものに踊らされないよう、自分で情報を見極める力を養っていきたい。
・あの震災から15年も経ったんだなということをしみじみと感じた。
・原発どうこうより、生活の質的に今後何が大切なのかを考えるようになった。自分が何を選んでいくのかに重きを置いて生活したい。
・原発のように、制御できない可能性があるものを使っている一方で、今の生活を維持したいという欲もある。より本質的な生き方について考え続けていくしかないと思った。
今回は、『東日本大震災による一次被害と二次被害』と『母親になる責任』の2本柱で構成された作品でした。
その中でも震災による二次被害として問題視されていた原発事故に関して、一面的な非難の目をもって展開されるストーリーであった部分が少々気になりました。
原子力発電については3.11以降様々な意見があると思いますが、震災以前は、CO2の排出量を格段に削減することのできる画期的な発電方法として取り上げられてきました。そして私たちはそれに頼った生活を選択し、実際に営んできました。そのため、原発事故発生の責任は、我々の積み重ねてきた“選択”にもかかってくるものがあるのではないかと感じました。
『母親になる責任』に関しては、南海さんの当時の感情や考え方はリアルに想像できました。自分の身体が自分だけのものではなくなる時、自分ではない大切な誰かが自分に介入してくる時、今まで考えもしなかったことに敏感になったり、些細なことでも気になったりと、とても繊細に生きるようになると思います。
日常生活に関する様々なことを想起させ、改めて考えさせてくれる興味深い作品でした。
次回上映作品情報

次回は『おだやかな革命』を上映いたします。
~作品概要~
3.11の原発事故を一つのきっかけにして、これまでの成長・拡大を求める経済のあり方とは違う、それぞれの地域での「幸せな経済」が全国で生まれつつある。『おだやかな革命』は、大きなシステムに依存せず、自らの暮らしを支えるエネルギーを自治しながら、本当の豊かさを取り戻していく地域の姿を見つめた物語だ。2年にわたり追い続けたのは、原発事故後に福島県の酒蔵の当主が立ち上げた会津電力。放射能汚染によって居住制限地域となった飯館村で畜産農家が立ち上げた飯館電力。岐阜県にある100世帯の小さな集落が立ち上げた小水力事業。さらに、首都圏の消費者と地方の農家、食品加工業者が連携して進めている秋田県の市民風車。そして、自主自立を目指して村の森を再生しながら森林資源を生かしたビジネスを起こし、若者の起業家を集めている人口1500人の西粟倉村の取り組み。
「当たり前の日常」が今日も当たり前であることの難しさに直面しながらも、そこから逃げずに向き合った彼らの「暮らしの選択」が、穏やかに地域を変えていく。映画に登場するこれらの地域の暮らしの選択には、これからの時代の希望のタネが詰まっていた。
~上映会詳細~
○会場 :SO.ラボ2F
○上映日時 :2026年3月14日(土) 開場16:00/開演16:30
※上映時間 100分
※上映会終了後、座談会もございます (参加自由)
○料金 :800円(現金のみ) ※学生無料
○ご予約方法:電話、メール、DM、Googleフォームにて受付しております。
GoogleフォームURL:https://forms.gle/u2iAFAc6b9mvmY6u9
当日のお申込みも大歓迎です!
次回の上映もお楽しみに!